学生の受賞・活動

和田 歩さん 環境バイオテクノロジー学会2019年度大会 優秀ポスター賞

生物機能工学専攻・修士課程2年生の和田 歩さん(微生物代謝工学研究室(政井・上村研究室)、新潟県立小千谷高等学校出身)が、2019年6月15日~16日に大阪府吹田市にて開催された環境バイオテクノロジー学会2019年度大会で優秀ポスター賞を受賞しました。

環境バイオテクノロジー学会は、1996年に母体である環境バイオテクノロジー研究会が発足し、設立20年を超えています。本学会のトピックスは、設立当初はバイオレメディエーション、バイオプリベンション、バイオモニタリングを主体とし、最近ではバイオマスからのバイオ燃料生産やバイオによるクリーンバイオプロダクションといったものづくり分野にも展開しています。本学会は、文明の発展と共に生じた広範囲な環境問題に対処するために、国内の「環境」と「バイオテクノロジー」に関わる研究者と技術者が結集してつくられた学会です。人間社会の福祉の向上に寄与する環境バイオテクノロジーの研究・開発を推進することを目的として、個々の研究者・技術者が相互に研究や開発の情報を交換し合いそして研究開発の意欲を高めるための場を作り、基礎研究や応用的技術開発の成果を交換することによって環境バイオテクノロジー分野の加速的な発展に寄与することを趣旨としています。

受賞研究題目

Pseudomonas putidaのリグニン由来芳香族化合物トランスポーターの解明

研究概要

植物成分のリグニンは、地球上で最も豊富な芳香族資源です。現在、最も有望なリグニン有効利用方法として、化学触媒等による高分子リグニンを分解し、これにより生成する低分子の芳香族化合物を微生物の代謝能を利用して機能性材料の基幹化合物に変換する手法が注目されています。微生物代謝工学研究室はSphingobium sp. SYK-6株のリグニン由来芳香族化合物の代謝システムを明らかにし、これら分解酵素遺伝子を用いてリグニン由来芳香族化合物から機能性材料の基幹化合物を生産できる組換え体を構築してきました。最近、SYK-6株のリグニン由来芳香族化合物の細胞内輸送トランスポーター遺伝子を同定し、これら遺伝子を高発現させることにより物質生産速度を向上させることに成功しました。

本研究では、芳香族化合物分解の代表的細菌であり物質生産の宿主として幅広く利用されている、Pseudomonas putida KT2440株の芳香族化合物トランスポーター遺伝子の探索を行いました。その結果、主要なリグニン由来芳香族化合物であるプロトカテク酸、バニリン酸、フェルラ酸、4-ヒドロキシ安息香酸の取り込みに関わる遺伝子 (pcaKvanKferK)を明らかにしました。得られた遺伝子情報はリグニン由来芳香族化合物からの高効率な物質生産微生物の開発に重要であり、リグニンを促進し循環型社会の構築に貢献するものです。

Pseudomonas putida KT2440株における推定のリグニン由来芳香族化合物輸送システム

関連リンク

環境バイオテクノロジー学会
微生物代謝工学研究室(政井・上村研)