小笠原研TOP >バクテリア -P. mexicana
タンパク質分解酵素は食品や医薬品などの産業で多く使われており、わたしたちの生活に欠かせないものです。一般的な生物のタンパク質分解では、エンド型酵素がある程度ランダムに断片化し、一つずつ切るエキソ型酵素によりアミノ酸を得ると考えられています。本研究室では二つずつ切るエキソ型酵素が中心になり、オリゴペプチドを分解するシステムを有すると考えられる特殊なバクテリア、(シュードザンゾモナス・メキシカーナ)WO24株を単離し、その分解システムを明らかにするとともに、それら酵素の産業界への有効利用を目指しています。
Pseudoxanthomonas mexicana (シュードザンゾモナス・メキシカーナ) WO24は、オリゴペプチドのアミノ末端からアミノ酸を二個連なったジペプチドずつ分離する酵素・ジペプチジルアミノペプチダーゼ (Dipeptidyl aminopeptidase, DAP) の活性が高いバクテリアです。1990年代、DAPはホ乳類からしか見つかっていませんでしたが、バクテリアにもあるはずだと探し出してきたのが本菌です。その後、本菌からバクテリアとしては初めてDAPが単離されました。WO24は当研究室の発見者であるWataru Ogasawaraに因みます。
P. mexicana WO24は豆腐製造廃液の曝気槽(廃液に空気を送り込んで、微生物の働きで浄化する)から単離されました。このバクテリアはアミノ酸が2–10程度つながったオリゴペプチドを好むことがわかりました。またオリゴペプチドを端から2つずつ切ったり、アミノ酸が2つ繋がったジペプチドを分解したりするペプチダーゼが強いです。 ペプチダーゼ自体の性質の解明では、そのペプチダーゼがどんなペプチドを分解するのか(基質特異性)を調べます。また、酵素の性質と構造の間には深い関係(構造機能相関)があるので、ペプチダーゼの構造も調べています。
ペプチダーゼ自体の性質の解明では、そのペプチダーゼがどんなペプチドを分解するのか(基質特異性)を調べます。また、酵素の性質と構造の間には深い関係(構造機能相関)があるので、ペプチダーゼの構造も調べています。
ペプチダーゼ個々の性質を調べるだけでは菌が生きていく上でどれくらい大切なのかはわかりません。そこで重要性を知りたいペプチダーゼを菌が作れないように遺伝子を破壊します(ノックアウト)。 手を加えていない野生株とノックアウト株を、異なる栄養源で培養して生育を比較することで、ペプチダーゼの必要性や役割が明らかにします。
小笠原研TOP >バクテリア -P. mexicana