研究室

生物材料工学研究室

生物素材を利用して新しい機能性材料を作り出し、それらを応用したバイオセンサーやエネルギー変換系の構築を図るとともに、生物関連分野の諸現象や生物機能を究明することを目指して研究を展開しています。具体的には、生物素材を様々な有機・高分子材料と分子レベルでと組み合わせたハイブリッド材料の研究・開発に取り組んでおり、例えば有機導電材料と酵素を利用した材料を電気化学系に取り入れ、目的の化学物質の量を電流応答として検出できる機構の構築や植物由来の廃材などから電気エネルギーを取り出す研究などを行っています。

研究室風景

スタッフ

※令和2年3月31日をもちまして下村 雅人 教授はご退職されました。
桑原 敬司 准教授 桑原 敬司


研究プロジェクト

生物素材のハイブリッド化
酵素や各種の機能性タンパクなどの生物素材を工学的に利用しやすい形態(材料、デバイス)へと転換して行くためには、それらの生物素材を何らかの手段で固体の表面に結合させることや、他の物質(分子)と複合化させることが必要となります。そこで、生物素材の高度利用のための基礎技術として、生物素材による固体の表面改質・修飾ならびに生物素材と有機・高分子材料との分子レベルでの結合に取り組んでいます。固体表面に存在する原子団は反応点として利用可能であり、新たに種々の有機原子団や高分子鎖を化学的に結合させることができます。つまり、それらを足場とすることにより、生物素材などを固体表面に導入することができます。例えば、シリカゲルやアルミナゲルなどの表面には多数の水酸基が存在しており、これらを結合点として酵素を固定すれば、安定な工業触媒として、酵素を様々な形態で利用することが可能となります。さらに、マグネタイトやフェライトなどの磁性体の表面に酵素を結合させておけば、酵素反応生成物を磁気的に分離することもできます。
生物素材を利用したバイオセンサーの作製
酵素や抗体、DNA などの生物素材は高い分子認識機能を有していることが多いため、この機能をうまく利用することによって、様々な分子が共存する中から目的の分子だけを検出することが可能なセンサーを作り出すことができます。センサーを作る場合、いかに生物素材の機能を電気的、電気化学的に応用するかが課題であり、電極基板と生物素材をどのようにハイブリッド化させ、センサーとしての機能を発現させるかが研究の主題となります。我々は、DNA や抗体を分子認識部位に利用した周波数検知型センサーや、有機導電材料と酵素を組み合わせた電流検知型のグルコースセンサーやアルコールセンサーなどの研究を行っています。
酵素電極を利用したバイオ燃料電池の作製
酸化還元酵素を触媒として利用し、電極基板と組み合わせることにより、グルコースやアルコールなどのバイオマスから電流を取り出すことが可能です。つまり、この電極を対極と組み合わせて発電系に取り入れることによって、グルコースやアルコールなどから電力を得ることができます。発電系を組むうえで重要なことは、どのようにして大きな電流を適切な電位で取り出すかであり、より高い性能を示す電池を作製するためにたくさんの研究が行われています。我々は特に有機導電材料である導電性高分子(ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなど)に着目し、それらを酵素と電極基板をつなぐために利用した場合、その化学的、物理的な性質が電極の性能にどのような影響を与えるか検討しています。
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図1:研究の概要
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図2:バイオ燃料電池の概要

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