研究室

システム幹細胞工学研究室

ヒト iPS 細胞を工学で制御し、ヒトを理解:
私達の研究の目的は、ヒト iPS 細胞の周辺環境を制御するための技術を開発する事で生体内で起こる現象を培養皿上に再現し、ヒト体作りのダイナミクス理解する事です。「飛行機を作ることで、鳥が飛ぶ仕組みを理解する。」というアプローチに似ています。

私達の研究の成果は、胎児に悪影響を及ぼす可能性のある薬剤を発見するツール開発へと応用されることが期待されます。また、遠い未来には人工子宮の技術などにも繋がります。


当研究室は、JKAより研究の補助を受けています(2023M-281)。

スタッフ

大沼 清 准教授 大沼 清

研究プロジェクト

最小限の培養条件の確立による、体作りに影響を与える物質の作用機序の解明
実験試薬を作るのには超純水が必要となります。これと同じ発想で、細胞に化合物などの刺激物(シグナル)を与えたときの応答を調べるには、余分な刺激物が無い条件が必要です。そこで、全成分が既知の無血清培養法や、周囲に他の細胞が無い無フィーダ・低密度培養法など、最小限の培養環境の開発をしています。これらを用い、分化を誘導する物質の作用や、胎児に毒性のある化合物を探し出すツールの開発を目指しています。
マイクロ流路を用いた物質移動の制御による、分化の
制御
周りの人からのアドバイスにより将来の方向性が決まる事が有ります。細胞も同様で、周囲の細胞が分泌した物質の影響で、どの細胞になるかの方向性が変わります。そこで、培地や分泌物の移動を制御できるマイクロ流路を開発しています。これを用い、ヒトの頭尾軸などを再構築する事で、体の基盤ができる仕組みを明らかする事を目指しています。
マイクロパターンを用いた配置の制御
人にとって住む家の大きさや間取りは重要ですが、細胞にとっても周囲の広さや形が重要です。そこで、マイクロ加工の技術を用い、細胞が接着できる微細なパターンを作製しています。パターンの形や大きさが細胞の運動や分化に影響を及ぼす影響を調べています。
一細胞運動の追跡
物流システムに問題が発生すると、社会が混乱します。体作りも一緒で、最初の細胞大移動である原腸形成に問題があると、正常な体ができません。そこで、ヒト iPS 細胞から原腸形成期の細胞を作製し、1個1個の細胞の動きを解析しています。細胞が適材適所に配置される仕組みを明らかにすることを目指しています。

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