高分子機能工学研究室
天然高分子を中心として、生体の精緻な機能を模倣した新規材料の開発とその基礎を研究している。高分子材料関連の企業や研究機関との、基礎研究を中心とした共同研究にも積極的に取り組んでいる。
物性や構造の解析のために、溶液・固体 NMR、CD、FT-IR、時間分解蛍光光度計などの分光器、DSC 熱分析装置、超遠心機・GPC 等の分子量測定装置を完備している。走査型プローブ顕微鏡(SPM)も導入しており、分子が形成する複雑なナノ構造の直接観察も行える。
スタッフ
准教授 木村 悟隆
研究プロジェクト
- 小国和紙の製造工程「雪晒し」に関する研究
- 地元、長岡市小国の「小国和紙」では、雪の上に楮(こうぞ)皮や漉いた和紙を晒して紙を白くする「雪晒し」という雪国独自の技法が使われている。雪の温度や天気、晒す時間によって、出来上がった和紙の強度や風合いが大きく変わる。雪晒しによる楮繊維の表面構造や化学構造の変化を検討している。
- きのこ多糖の材料化
- きのこに含まれるシゾフィランやレンチナン等の多糖は三重らせんを形成し、抗腫瘍活性を示すものもある。これら多糖をベースとしたゲルやブレンドの調製と物性を検討している。
- 種々の多糖が形成するナノ構造の直接観察
- セルロース系多糖が形成するナノ構造を SPM により直接観察し、構造と機能の究明に取り組んでいる。“バンド構造” の他に、基板に用いる合成高分子の親疎水性を制御することにより、多糖誘導体のナノドット作成にも成功している。
- 分子動力学シミュレーションによるセルロース誘導体の構造・物性解析
- 一次構造や分子量の不均一性のため、セルロース誘導体の分子構造と物性の関係を実験的に調べることが容易ではない。そこで、分子動力学計算(MD)を用いて、先ずセルロース誘導体一分子の計算を、真空および溶媒分子中で行い、分子鎖構造について検討している。Gaussian や GAMESS 等による非経験的量子化学計算による、MD 計算用の力場パラメータの評価も行っている。液晶ディスプレイに欠かせないセルローストリアセテートのシミュレーションも行っている。