生体運動機構研究室
我々はよく、動いているものを「生きているようだ」と表現する。学術的にも、生き物は必ず動いている。巨視的な点については言うまでもないが、細胞内の分子も、正しい場所で正しい時間に機能するためには、「動く」必要がある。生体内の様々な反応に関わる「物質」だけでなくその反応が起こる「時間」と「場所」を決めることが生命現象には必須であり、この立場から、「動く」ことの研究は「生物物理学」の中心的課題であると考えている。我々は、生体内の「動く」メカニズムを分子レベル解明し、新しい動作原理を見出すと共に、その機能の工学的応用を試みている。
スタッフ
教授 本多 元
研究プロジェクト
- 1.生体運動の分子機構解明 ~力学的情報の立場から~
- 細胞内にある膨大な分子が協調して正確に機能するためには、分子相互の連携が必須である。この意味で分子の運動をその連携機能の点から解明することは大変重要である。本研究室では運動性タンパク質、アクチン・ミオシンを用いて、複数のタンパク質分子がお互いに連携していくメカニズムの解明を目指している。アクチン繊維や、その構成分子は顕微鏡で直接観察できる。強力な熱ゆらぎにさらされている分子同士がどのように協調しているかを、「分子ゆらぎ解析」の手法を用いて研究を進めている。
- 2.LSIとモータータンパク質によるバイオデバイス開発
- 実験室で行う酵素・化学反応はすべて複数の溶液を混合することで開始されている。しかし、細胞内で起こるさまざまな化学反応においては、その体積の小ささから「液体の混合」は不可能である。代わりに細胞内では、モータータンパク質がこの役割を担っている。溶液の混合ではなく分子の輸送により反応を制御することにより、反応装置の超小型化が容易に実現できる。本研究室では、この機構を利用して新たなバイオデバイスの開発を試みている。
教授 本多 元 |